■ きっかけ

• ストップウォチというものがある。これは秒数が計測できる装置である。
• ところで、これで 10 時間という長い時間を計ったら、それでも正確なのだろうか？
• 秋葉原で超高精度なクリスタル(発振ユニット)を見付けたことから、この物語りが始まる。

• 市販のストップウォッチは、1/100 秒精度だし、長時間では狂うのだろう(多分)。なので、1/1000 秒の精度で、かつ、10 時間後でもこれを保証するのが目標。
• 電波時計を活用するのはどうか、というアイデアはボツ。電波時計キットを購入してみてから気づいたのだが、基準精度が１秒単位だった(なので±１秒があてにならんのだ)。
• クロックICを搭載するのではなく、CPU のクロックとしてこの超高精度水晶発振ユニットを利用する。
• 予備段階で普段使っている 8MHz のクリスタルを用いて実験してみると、8.00361Mhz などと正確でないし、やや良いユニットある(8000KHz表示）場合は、7.99983 MHz とかであった。
• 当初、8.00361Mhz とか偏真している周波数でも、 内部の浮動小数点演算で補正するプログラムを作ったが、水晶を替えた途端にプログラムの焼き直しになるので、この案は座礁した。
• 高精度の発振ユニット(8.000000Mhz)では 8000000.109 Hz で、ドリフトとエージングについては 8 時間エージングで、8000000.113 Hz であった。
• 精度について
  • 高精度のユニット(8.000000Mhz)を利用して、実測で 8000000.109 Hz である。これは、ソフトウェアの浮動小数点演算(32bit)で補正を工夫しようとも、それが困難なほど小さい誤差であり、60 分までの測定については問題が生じない。
  • 内部カウントは 32uS(マイクロセック)でカウントしている。(分解能が 32uS ということ)まず、8bit のカウンタで 256 カウントされるので、このカウントアップは、8.19mS 毎の行われる。(すなわち、8.19mS 以内に割り込み処理を終了させないといけない。ちなみに、この僅かな時間で浮動小数点演算は不可能である)
  • CPU のインプットキャプチャ端子には、8 bit のプリスケーラがあるので、

    
        計測時間 = (N * 256 + PCNT ) * 32uS
    
           N:       上位カウンタ(ソフトウェア)
        PCNT:    8 bit内部カウンタ
    
    

    のように計算すると、約 68 分は(500000 * 256 + 0) * 32 = 4096.000000 sec である。もし、基準クロックが 8000000.109Hz であった場合、32uS -> 31.99999952uS となるので、この結果は、(500000 * 256 + 0) * 31.99999952= 4095.999939 sec となり、約 68 分間に、0.061mS ほど"早く"カウントされることになる。ただし、これに温度と電源電圧の揺らぎの誤差が加算される)
• その他。
  • 適当なスイッチでスタート、ストップをする。
  • 液晶表示にすること。
  • 乾電池で動作すること。

• 製作途中の内部写真

  

• 完成した様子

  

■ 感想

• 結果として非常に正確であったのホッとした。
• 完成写真ではスタート/ストップを外付にできるようになっている。
• 液晶のコントラストボリュームは外部に出した方がよいだろう。
• ほぼ３日間は持つが、消費電流が気になるところである。
• もし、プログラムが気になる人は、これを参照(一応見てみるか)。